父の後妻が遺産を独り占めする
後妻業とは?
後妻とは、離婚または死別した妻の後に迎える妻のこと。
後妻業とは、結婚相談所や詐欺のの業界で知られる用語で、資産目当てに後妻になる生業です。
京都連続不審死事件
後妻業の典型が、最近起きた筧千佐子容疑者による京都連続殺人事件です。
結婚相談所で知り合った老人男性と後妻としての結婚を繰り返していた彼女。
その周辺で男性が次々に不審な死を遂げていました。
逮捕されたのち、すでに青酸化合物を使用した殺人であったことを自供しています。
相続した遺産は累計10億以上になりますが、逮捕時にはほとんど使い果たしていました。
小説「後妻業」
後妻業の実態は、直木賞作家・黒川博之氏の小説「後妻業」に詳しく書かれています。
この小説は京都連続不審死事件を予言していた、とか、筧千佐子容疑者はこの小説を参考にしたのではないか、とまで言われました。
小説の中で「後妻業の三種の神器」なるものが出てきます。
- 公正証書遺言
- 家具の搬入
- 顔見せ(夫の知人に後妻としてあいさつしておく)
家具の搬入と顔見せは、裁判になった時に有利になる証拠事実作りです。
しかし、一番の武器は公正証書遺言です。
公正証書遺言の絶大な力
公正証書遺言で指定された相続内容を覆すことは事実上不可能です。
公正証書遺言の中で指定された以外の相続人の同意は不要になり、自筆遺言書と違って「検認」のプロセスも不要。
そこに全額後妻が相続すると書かれていれば、子供の相続分はなくなります。
公正証書遺言は、各都市にある公証役場に出向いて、簡単に作成することができます。
必要なのは実印、印鑑証明、証人2人と手数料。
手数料は目的とする資産の額によって変わりますが、資産1億円でも4万3千円と、微々たる額です。
本人の口述をもとに公証人が遺言書を作成してくれます。
病気で公証役場に行けない時は出張もしてくれますし、筆談でもOK。
要するに、あなたが受け取るべきお父さんの遺産を、後妻が全額受け取ることにしてしまう重大な書類が、いとも簡単に作れてしまうということなのです。
原本は公証人が保管するので紛失の危険はなく、ひとたび作られてしまうと後妻業者が圧倒的に有利になります。
後妻業の被害を防ぐには?
後妻の経歴と行動を探偵に調査させればいいのです。
結婚相談所で知り合った相手と結婚・死別・相続を繰り返しているといった事実が浮上するはずです。
行動調査でも不審な人物と定期的に会っている、ギャンブルなど多額の消費癖がある、などの事実が判明するでしょう。
先述の小説「後妻業」の中でも興信所の調査員が後妻の経歴や行動を洗うシーンが出てきます。
当人を納得させるにも証拠が必要
プロの結婚詐欺師の疑いがでてきたら、お父さんを説得して公正証書遺言を破棄してもらいましょう。
その際にも証拠が必要です。
お父さんは後妻にマインドコントロールされているに近い状態ですから、子供の言うことなど聞き入れません。
しかし、第三者がまとめた客観的な証拠があれば、事実を受け入れざるを得ないでしょう。
探偵の調査報告書がその役割を果たします。
お父さんが生きているうちに早く行動を!
後妻業の疑いがあるなら、調査はすぐに行いましょう。
今ならまだ公正証書遺言の作成は行っていないかもしれません。
作成前に説得して食い止められれば、それがベストです。
お父さんが亡くなってしまってからでは、公正証書遺言が効力を発揮してしまいます。
その後で後妻まで亡くなるとさらにまずいことになります。
後妻が生きているうちは、「遺留分請求」という救済措置によって、裁判を起こせばいくらかでももらえる可能性があります。
後妻がなくなると、後妻の相続人の相続問題に移行し、あなたにはほとんど望みがなくなるのです。
先述の小説の結末もそんなことになっています。
高齢の方は、いつ亡くなるか予測がつきません。
相談は無料なので、一刻も早く行動を起こしていただきたいです。